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発信者情報開示請求されたら?届いた後の流れを弁護士が解説

2024年3月11日

発信者情報開示に係る意見照会書
身に覚えのない、発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合、どのように対応すればいいのでしょうか。逃れることはできるのでしょうか?

「発信者情報開示に係る意見照会書ってなに?」
「身に覚えのない意見照会書が届いた場合どうする?」
「開示請求されたら いくらかかる?いくら払うの?」
「無視しても問題はない?」

この記事では、意見照会書によるそんな疑問や発信者情報開示請求に関する流れについて、詳しく解説していきます。

※2024年3月19日、開示請求のご相談が増えています。手遅れになる前に今すぐ『メディアを見た』とお伝えした上でご相談ください。

>>トレントの利用で開示請求された時の対処法について

「発信者情報開示に係る意見照会書」についてすぐに相談したい方、示談したい方、交渉して欲しい等、発信者情報開示請求に強い弁護士法人 法の里にご相談ください。相談無料ですので、お気軽にお問合せください。

この記事の監修者

弁護士:髙橋 健一

弁護士:髙橋 健一

2009年弁護士登録(東京弁護士会所属)
開示請求・爆サイ、5ちゃんねる等の掲示板やSNSでの削除、投稿者の特定を得意としています。状況を分析、解決策のご提案します。

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発信者情報開示に係る意見照会書が届いたら?

『発信者情報開示に係る意見照会書』が届いたらどうなる?
『発信者情報開示請求』は簡単に言うと、ネット上で何らかの権利侵害を受けた被害者が、投稿者を特定するために使うことができる権利です。

発信者情報開示請求権とはどのようなものですか。
権利侵害情報の流通による被害回復の手段として、加害者を特定して損害賠償請求等を行うため、第三者であるプロバイダ等に対して発信者情報の開示を請求することを可能とするものです。

引用:総務省

この権利は「プロバイダ責任制限法」によって定められており、もしSNSや掲示板などで、悪質な権利侵害が認められた場合『発信者情報開示請求』を行うことで、権利侵害を受けたと主張する側は、投稿者情報をプロバイダ側に開示するよう求めることが可能となるのです。

『発信者情報開示請求に係る意見照会書』とは、この発信者情報の開示の意志を確認するための書類であり、「意見照会書」とも呼ばれています。

プロバイダ側からこの意見照会書が届き、もし開示請求を許可すれば、プロバイダ側から権利侵害を受けたと主張する人物に、氏名や住所といったあなたの個人情報が開示されることになります。

この「発信者情報開示請求に係る意見照会書」はあくまで任意であり、意見照会書を受け取った発信者側が拒否することも可能です。

しかし、開示請求を拒否した場合、必ずしもその意志が尊重されるとは限りません。

もし、権利侵害を受けたことが明らかな場合は、プロバイダ側の判断で開示される可能性もあるからです。

ただ、プロバイダ側の判断によって安易に個人情報を開示してしまった場合、開示された発信者側から逆に「勝手に個人情報を開示した」と、損害賠償を求められるリスクがプロバイダ側に発生します。

そのため、プロバイダ側は基本的に意見照会書に同意することがない限り、発信者情報を開示しないようにしているのが現状です。

もし開示請求を拒否した場合、権利侵害を受けた側は、次に発信者情報開示請求を求める裁判を起こして、プロバイダ側に発信者情報開示請求を求めます。

なぜ発信者情報開示情報を行う必要があるのでしょうか、それは発信者に法的な責任追及を求める為だからです。
基本的に、裁判を起こして相手を訴えるには、「相手が誰であるか」ということがわからなければなりません。

しかしながら、ネットによる名誉毀損や誹謗中傷の場合、投稿した人物が誰なのかがわからないため、この「投稿した人物が誰であるか」を特定するために、発信者情報の開示を行う必要があるのです。

発信者情報開示によって個人情報が得られれば、今度はその情報をもとに、権利侵害を受けた人物が慰謝料などの損害賠償を求めるための民事訴訟や刑事告訴を行うことができるのです。

<ポイント>
尚、最近ではネット上の権利侵害による被害が増加したことから、2022年の10月から新たに「改正プロバイダ責任制限法」が施行されるようになりました。

改正法によって、新たな裁判手続(非訟手続)が創設されたことや、ログイン時の情報の開示が可能となり、開示できる情報の範囲が拡大されたことで、発信者の特定がより簡易的になったといえるでしょう。

発信者情報開示に係る意見照会書が届く理由

意見照会書が届く要因
『発信者情報開示に係る意見照会書』とは、名誉毀損・著作権侵害などといった不法行為が行われ、権利侵害が認められた場合に届きます。

意見照会書が届く要因としては以下の事が考えられます。

①特定電気通信による情報の流通
「特定電気通信」とは、ウェブなどを利用した際の送信のことを指します。

掲示板やSNSの書き込みは、誰でも閲覧可能なネットに情報を送信する行為であるため「特定電気通信による情報の流通」に当たります。

つまり、ネットで悪質な書き込みをした時点で、この「特定電気通信による情報の流通」に該当することになるのです。

②自己の権利を侵害されたとする者
「自己の権利を侵害されたとする者」はネット上で権利侵害を受けた被害者に当たります。

被害者以外の発信者情報開示請求は認められておらず、権利侵害を目撃しただけの第三者は、開示請求を行うことはできません。

③権利が侵害されたことが明らかであること
例えば、ただ「〇田は詐欺師だ」などと伏字で侮辱的な内容を書き込まれただけでは、いくら自分のことだと感じたとしても、第三者にはわからないため権利侵害が明白とは言い切れません。

また、名誉毀損等の場合であれば、社会的評価を低下させたかどうかも重要視されます。

そのため、例えば個人間のDMなどのやりとりで「お前はうそつきだ」などと言われた場合であっても、公然性がないため、権利侵害されたと主張することが難しいのです。

④正当な理由があること
発信者情報開示を求めるには、正当な理由が必要です。

「興味本位で知りたい」「相手の個人情報を拡散したい」といった目的で、開示請求することは認められていません。

⑤開示請求を求める相手が「開示関係役務提供者」であること
開示請求を求める相手は、権利侵害が行われたサイトを管理しているコンテンツプロバイダ側(Webサイト管理者)や権利侵害者が利用した接続プロバイダ側(通信会社)に行います。

⑥発信者情報にあたること
発信者情報とは、総務省で定められており、「氏名」や「住所」の他、「電話番号」「メールアドレス」「IPアドレス等」がそれに当たります。

詳しくは、後ほどご紹介する「発信者情報開示請求で開示される情報」にて開示される情報の内容を解説いたします。
参考:https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=414M60000008057

⑦「開示関係役務提供者」が保有していること
開示請求には、サービスプロバイダ側や接続プロバイダ側といった「開示関係役務提供者」が、発信者の情報を保有している必要があります。

発信者の情報を第三者に委託管理しているケースであっても、情報は保有しているとみなされるため、開示関係役務提供者には開示する権限があるとされています。

<ポイント>

意見照会書はプロバイダ側からプロバイダを契約している人物宛に届きます。

もしプロバイダの契約者が父親の場合、意見照会書はその父親宛に届くことになります。

そのため、たとえ契約者が身に覚えがない場合であっても、もしかしたら家族の誰かが権利侵害にあたる行為をしている可能性もあるので、意見照会書が届いた場合は同居している家族にも確認しましょう

発信者情報開示請求は拒否や逃れることはできる?

意見照会書は拒否できる?
先ほど紹介したとおり意見照会書の同意は任意であり、発信者側が拒否したとしても、法的なペナルティに課せられる事はありません。

また、拒否した方が良いケースもあるため、もし以下のケースに当てはまる場合は、拒否することも選択肢にいれましょう。

《権利侵害に身に覚えがない場合》
そもそも、名誉毀損などにあたる権利侵害となるような書き込みをした覚えがない場合や、ファイル共有ソフトはダウンロードでしか利用していないといったケースの場合、一見すると拒否してもいいと思われるかもしれません。

しかし、実際に手元に意見照会書が届いている以上、権利侵害に当たる行為が確認されたということですので、もし自分に本当に身に覚えのない場合は、自分以外の同居人に権利侵害を行っていないかどうかを確認しましょう。

特にトレントなどのファイル共有ソフトの場合、ファイルをダウンロードした際に、そのファイルが違法コンテンツであったり、著作権で保護されているコンテンツが知らないうちに自動でアップロードされていた、というケースがあります。

そのため、これらのファイル共有ソフトの利用によって、著作権を侵害するような行為がされていないかどうかについても、ちゃんと確認したほうがいいでしょう。

>>トレントで開示請求された場合の対処法について

《そもそも権利侵害がない場合》
SNSへの投稿やファイル共有ソフトを使った場合でも、拒否できるケースもあります。

それは、書き込みやファイル共有ソフトを利用した際に、権利侵害が行われなかった場合です。

例えば、SNSでアップロードした画像の背景に映り込んだ人物を、モザイク処理で隠しているにもかかわらず、そこに映り込んだ人物から「自分が映っている、プライバシー権の侵害だ」と主張されたとしても、写り込んだ人物が誰であるか特定できない限り、権利侵害には当たりません。

このように、一見すると権利侵害と思われる行為でも、権利侵害に当てはまらないケースもあるため、たとえ拒否した後に請求した人物が開示請求を求める裁判を起こしたとしても、裁判で開示請求が認められる可能性は低いといえるでしょう。

ただし、自分で判断して拒否するのは大変危険な行為です。

権利侵害に当てはまる行為であったことに気づかずに、最終的には裁判によって開示請求が認められてしまい、発信者情報開示請求にかかった費用が加算されて、損害賠償の請求金額が増えてしまった、ということもありえますので、意見照会書が届いた場合は、早急に開示請求に詳しい弁護士に相談することが重要です。

<ポイント>

仮に拒否を選んだ場合、権利侵害を受けた側は次に裁判によって開示請求を行います。

裁判によって開示請求が認められた場合、プロバイダ側は発信者情報の開示に応じなければならないため、権利侵害の事実がある以上は「たとえ意見照会を拒否したとしても、開示請求自体を回避することはできない」と考えた方が良いでしょう。

発信者情報開示に係る意見照会書は誰から届く?

「発信者情報開示に係る意見照会書」は、利用しているプロバイダから届きます。パソコンを利用して書き込みした場合と、スマホを使って書き込みした場合では、送り先のプロバイダが異なります。

5ちゃんねる(5ch)や2ちゃんねる(2ch)、爆サイ・ホスラブなどの掲示板への書き込みや、トレント・ファイル共有ソフトを使用して、無断アップロードした覚えはありませんか?

【パソコンで書き込みをした場合のプロバイダ例】

  • BIGLOBE:ビッグローブ株式会社
  • OCN:エヌ・ティ・ティコミュニケーションズ株式会社
  • So-net:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社
  • NURO光:ソニーネットワークコミュニケーションズ株式会社
  • ドコモ光:NTTドコモ
  • auひかり:KDDI株式会社
  • ソフトバンク光:ソフトバンク株式会社

【スマホから書き込みをした場合のプロバイダ例】

  • docomo:NTTドコモ
  • au:KDDI株式会社
  • SoftBank:ソフトバンク株式会社
  • ワイモバイル:ソフトバンク株式会社
  • LINEMO:ソフトバンク株式会社
  • UQモバイル:UQコミュニケーションズ株式会社

いつ、どうやって発信者情報開示に係る意見照会書が自宅に届くか

「発信者情報開示に係る意見照会書」は、訴訟案件であれば1週間から2週間で、多くの場合特定記録郵便で届きます。

稀に特定記録郵便でなく、細かな記録の残る簡易書留で届く場合もあります。とくに書留で届いた場合は、どの郵便局を経由して書留が到着した日時まで記録されています。

そのため、裁判の時の証拠として利用できることからも、相手側がかなり本気であることが伺えます。

発信者情報開示請求で開示される情報

開示される情報
「発信者情報開示に係る意見照会書」がプロバイダから送られてくるには、先にプロバイダ側に「発信者情報開示請求」が行われている必要があります。

「発信者情報開示に係る意見照会書」は、プロバイダ責任制限法第4条に基づく請求なので原則断ることはできません。平成14年総務省令第57号で定められている開示情報は、次のとおりとなります。

  • 氏名又は名称
  • 住所
  • メールアドレス
  • 発信者のIPアドレス/IPアドレスと組み合わされたポート番号
  • 携帯端末のインターネット接続サービス利用者識別番号
  • SIMカード識別番号
  • 発信時間(タイムスタンプ・年月日&時刻)

また、この「発信者情報開示請求」を受けて発送される「発信者情報開示に係る意見照会書」の内容は次のとおりとなっています。尚「発信者情報開示に係る意見照会書」は2枚構成の書式を用いるのが一般的です。

【1枚目の内容】

表題:発信者情報開示に係る意見照会書

  • 発信者の書き込みについて発信者情報開示請求を受けた事実
  • プロバイダが開示に応じることについて発信者の意見を聴かせて欲しい旨
  • 意見がある場合は、意見照会書受領日から2週間以内に、添付回答書で回答が欲しい旨の要望
  • 回答がない、または発信者が開示に同意しなかったとしても開示に応じることがある旨の通達

【2枚目の内容】

  • 請求者の氏名(法人の場合は名称)
  • 弊社が管理する特定電気通信設備
  • 掲載された情報
  • 侵害された権利
  • 権利が明らかに侵害されたとする理由
  • 発信者情報の開示を受けるべき正当理由
  • 開示を請求されている発信者情報
  • 証拠(添付別紙参照)
  • その他

発信者情報開示に係る意見照会書が届いた後の流れ

発信者情報に係る意見照会書が届いた後は、どのような流れで加害者の情報が特定されるのでしょうか。

実際にその流れを見ていきましょう。

IPアドレスとタイムスタンプの開示が求められる

もし、権利侵害によって権利者側が発信者情報の開示を求めた場合は、まずコンテンツプロバイダ側に対して保管しているIPアドレスやタイムスタンプの開示が求められることとなります。

「IPアドレス」とは、パソコンやスマートフォンなどの機器で、ウェブを閲覧する際に必ず割り当てられる識別番号です。

これらのIPアドレスは個別で割り当てられているため、サイトにアクセスした時間の情報となる「タイムスタンプ」と一緒に照らし合わせることで、加害者が接続しているプロバイダ元を特定する事ができるのです。

IPアドレスの情報などを元にプロバイダが特定される

コンテンツプロバイダ側が加害者のIPアドレスを開示すれば、次に加害者が接続したサービスプロバイダを特定します。

この特定には特別な手続きは不要で、「「Whois」」といったドメインサーチを利用することで特定することが可能です。

プロバイダから投稿者の個人情報が開示・特定される

ドメインサーチによって、加害者が接続したサービスプロバイダを特定出来れば、いよいよ加害者の住所や名前を特定していきます。

接続プロバイダに契約者の情報を開示してもらうように求めることで、加害者の情報がわかるようになります。

その際、利用者の情報が消えないよう、アクセスログの消去禁止の請求を行います。

<ポイント>

開示請求を行い、侵害した人物を特定するまでには、概ね3~9ヶ月ほどかかります。

ただし、これはあくまでも目安の期間であって、状況によっては短くなったり、長くなったりするケースもあります。

この開示請求は弁護士によって行われるのが一般的です。したがって「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いたということは、既に弁護士に依頼していると考えられます

では具体的に「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いた場合、どのように対応すればいいのでしょうか?
確認してきましょう。

発信者情報開示に係る意見照会書が届いた場合の対応方法

発信者情報開示に係る意見照会書

もし「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いたら、どのように対応していけばいいのでしょうか。

ポイントは、「権利侵害があったかどうか」の判断となります。

なお、プロバイダ側から送られる意見照会書には回答期限があるため、回答期限にも気を付ける必要があります。

権利侵害がない場合は拒否

もし権利侵害がない場合や、やっていないことが証明可能な場合、開示請求を拒否することも可能です。

拒否する場合は、意見照会書に同意しない旨と、その理由を記載します。

ただし、権利侵害をしているのにも関わらず、「開示されるのが嫌だから」といって拒否した場合、権利者側が裁判を起こして発信者情報開示を求める可能性があります。

この裁判によって開示請求が認められた場合、権利侵害を申し立てた人物から損害賠償の増額や、弁護士費用の負担を求められるリスクもあるので、身に覚えがある場合は、素直に開示請求に応じて示談に持ち込む方がいいでしょう。

尚、意見照会書が届いている時点で、開示請求を申し立てた人物には弁護士がついている可能性があります。

たとえ拒否することで、開示請求を一時的に回避したとしても、どのみち法的手段に持ち込まれてしまうため、拒否するかどうかは慎重に考えなければなりません。

権利侵害がある場合は示談を

もし、権利侵害をした覚えがある場合は、素直に開示請求に同意したほうがいいでしょう。

そのうえで、権利侵害を訴える被害者と示談を行い、穏便に問題の早期解決を目指していきます。

ネット上の名誉毀損や著作権侵害は、場合によっては刑事告訴に発展することがあります。

もし刑事告訴された場合、逮捕、起訴され、日常生活を送ることが困難になります。

また、民事裁判においても、多額の損害賠償を請求される可能性があるため、もし権利侵害したと思い当たるのであれば、弁護士と早めに相談して、示談に持ち込むことが重要なポイントとなるのです。

発信者情報開示請求の無視はNG

次に、もし意見照会書を返答しないまま無視した場合はどうなるのでしょうか。

発信者情報開示請求の意見照会書には「14日間」という回答期限があります。

同意がない限り、プロバイダ側が開示することはあまりありませんが、状況によっては開示するべきだ、と判断されることもあります。

その場合、たとえ同意がなかったとしても、開示されてしまいますので注意が必要です。

また、仮にプロバイダ側が開示しない判断をしたとしても、今度は権利侵害を訴える側が裁判を起こして、情報開示請求を求めてくるかもしれません。

もし法的手段によって開示請求が認められれば、いくら同意していなくてもこちらの情報が開示されてしまいます

その後、示談を求める手続きを行う際にしても、意見照会書を無視したことで「誠意がない」と思われかねないため、発信者情報開示請求の意見照会書は必ず回答するようにしましょう

発信者情報開示に係る意見照会書の回答書の書き方

先にお伝えした「発信者情報開示に係る意見照会書」が届いたら、どのように処理するべきでしょうか。

「発信者情報開示に係る意見照会書」は2枚構成とお伝えしましたが、回答書が同封されています。この回答書に必要事項を記載して、プロバイダに返送する必要があります。

発信者情報開示請求について身に覚えのない場合

「身に覚えがない、いいがかりだ!」とはいえません。

開示を求めている相手は、コンテンツプロバイダを通して、利用していたプロバイダが特定されています。プロバイダで特定されているのは、パソコンの住所にあたるIPアドレスや、スマホの住所となるSIMカード識別番号です。

そのため、ここまで証拠を抑えられて「知りません」は通らないのです。どうしても開示請求に身に覚えがなければ、該当のパソコンやスマホを利用できる家族や同居人、友人に聞いてみましょう。

もしも、家族や友人が行った場合は「書式③-2発信者(加入者のご家族・同居人)からの回答書」を利用して、回答できます。

発信者情報開示請求を拒否する場合

もし、身に覚えがない場合や権利侵害に当てはまらない場合は、発信者情報の開示請求を拒否することも可能です。
拒否する場合は、回答書に記載されている「発信者側情報開示に同意しません」の欄に「〇」をつけ、「拒否理由」を書いて返送します。

拒否する場合、この理由欄を明確に記載する必要があります。

ただ、単に「身に覚えがないから」といった理由では、拒否理由として有効とは言えません。

まずは、ご自分がどんな権利侵害で開示請求を求められているのかを確認したのちに、法的な根拠に基づいて拒否理由を記載する必要があるのです。

法的な主張で開示拒否をする場合、よくネットなどにある記載例をそのまま記入してしまうケースもありますが、権利侵害の内容は人それぞれであるため、記載例をそのまま書いてしまうと、かえってトラブルにつながる危険性があります。

そのため、もし意見照会書を拒否する場合は、まずは開示請求に詳しい弁護士に相談することをお勧めします。

法律の専門家から適切なアドバイスをもらうことで、発信者情報開示の回避が期待できるでしょう。

発信者情報開示請求に同意する場合

発信者情報が開示されるような内容を書きこんだ覚えがあり、発信者情報開示請求に同意する場合は、書式③-1発信者からの回答書に、次の必要事項を記載して回答します。回答書の「発信者情報開示に同意します」に〇を記載します。

「備考欄」がありますが、同意する場合はとくに記載の必要はありません。

発信者情報開示に係る意見照会書が届いたときの注意点

注意点
「発信者情報開示に係る意見照会書」には受領してから2週間以内に、回答を行う旨の記載があります。(プロバイダによっては1週間以内に回答を求められるケースがあります)この期間は絶対に守らなければならないのか、怖くなって回答を無視すればどうなるのか。

このように、色々な疑問が湧いてくるでしょう。ここではそのような疑問の回答として、意見照会書の回答の注意点をお伝えします。

身に覚えのあることか確認

発信者情報開示請求が行われると、プロバイダ側から「発信者情報開示開示に係る意見書照会書」という書面が送られてきます。

この時点での開示請求は「あなたの情報を開示してもよいか?」と、任意で確認する段階ですので、身に覚えがない場合は拒否することも可能です。

ただし、焦って拒否をしてしまうと、その後大きな問題に発展する恐れがあります。

まずは回答を焦らずに、本当に身に覚えがないかどうかを確認しましょう。

<ポイント>

特に注意したいのが、トレントなどのP2P方式によるファイル共有ソフトの利用です

トレントは仕様上、ファイルなどをダウンロードする際に、他の利用者からデータ送信を求められると、自身が持つファイルを自動的にアップロードする仕組みとなっています。

そのため、自分はアップロードしていないと思っていても、ファイル共有ソフトを利用したことによって、知らず知らずのうちに権利侵害をしていることもあるのです。

近年では、BitTorrent(ビットトレント)やμトレント(ユートレント,マイクロトレント,ミュートレント)等のファイル共有ソフトで大手レコード会社の音楽作品(ポニーキャニオン、エイベックス、バンダイナムコアーツ、日本コロムビア、キングレコード、SONY(ソニー)の音楽など)
アダルト動画(KMP(ケイエムプロデュース)、プレステージ、EXstudio、CONT、KSプロ、三和出版、WILL、ティーパワーズ、クイーンズロード、TPJ、マレー商会、エムケイエイチ、バソキア、CHERRIES、グルーヴ・ラボ、ホットエンターテイメント、A&T、MBM、グラフィティジャパン、h・m・p清水健、桃太郎、有限会社デジタルガガ、オムプロダクション、ヒューマンネイチャー、オフィスサイレンス、株式会社ST、極楽、最強属性、ビジョンイノベーション、MRGの作品など)
漫画(芥見下々)のトレントによる発信者情報開示請求がされる事例が増えています。

>>トレントによる開示請求についてはこちらをご覧ください

14日以内に回答書を送らなければならない

「発信者情報開示に係る意見照会書」が届き、内容を読めば、90%以上の方に心当たりがあり、すぐに何のことか気付けるでしょう。その場合は、14日を待つことなく1日も早く回答書を提出しましょう。

もちろん「発信者情報開示に同意します」に〇を記載してからです。とくに14日が決められた日数になっている訳ではなく、目安として14日となっているだけです。

ことの大きさに反省をしているなら、1日でも早く提出する方が後のすべてにおいて印象はよくなります。

プロバイダ責任制限法の改正内容

プロバイダ責任制限法の改正内容
プロバイダ側に開示請求する場合は、プロバイダ責任制限法に則ったルールで開示手続きが行われます。

しかし、従来のプロバイダ責任制限法では、Twitterなどのログイン型のSNSには対応しきれない部分がある他、ネットによる誹謗中傷などの被害が増えてきた背景も踏まえて、プロバイダ責任制限法が見直されることとなりました。

そして、2022年10月から新たに施行される「改正プロバイダ責任制限法」からは、権利侵害を受けた被害者にとって、より円滑な対応と被害救済が可能となったのです。

具体的にどの部分が変わったのか、みていきましょう。

変更点① 開示請求できる範囲が広くなった

ログイン型のSNSによっては、ログイン時のIPアドレスは保有しているものの、投稿時のIPアドレスまでは保有していない所があります。

またログイン時の情報においても、発信者情報には該当しないとされていたため、必ず開示できるとは限りませんでした。

しかし、今回の「改正プロバイダ責任制限法」では、SNSなどのログイン型コンテンツの提供者に対して、「特定発信者情報」としてログイン情報等の開示を求めることが可能となり、従来よりもログイン型SNSへの開示請求が容易となりました。

変更点② 新たな裁判手続きが創設され、対応がスムーズになる

加害者を特定するまでには、コンテンツプロバイダ側にIPアドレスなどのアクセス情報の開示を求めた後で、接続プロバイダ側に発信者情報の開示を求めるというプロセスがあり、最低2回以上の裁判手続が必要とされていました。

しかし、10月から施行される「改正プロバイダ責任制限法」では「発信者情報開示命令に関する裁判手続」を行うことによって、プロバイダ側が保存しているアクセスログの消去禁止命令を含めた、簡易的な開示請求手続きが可能となったのです。

発信者情報開示に係る意見照会書が届いたら、弁護士に相談

弁護士に相談
いかがでしょうか。

「発信者情報開示に係る意見照会書」については、同意することも拒否することも可能です。

ただし、拒否する場合は、権利侵害が行われていないことなど、法的な根拠に基づいて拒否する理由を明記する必要があります。

また、意見照会書には回答期限があります。

安易に拒否したり無視したりすると、その後請求者から損害賠償を求められたり、刑事告訴されるリスクもありますので、もし意見照会書が届いたら、早めに開示請求に詳しい弁護士に相談することが重要です。

「発信者情報開示に係る意見照会書」についてすぐに相談したい方、示談したい方、交渉して欲しい等、開示請求に強い弁護士法人 法の里にご相談ください。相談無料ですので、お気軽にお問合せください。

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開示請求・爆サイ、5ちゃんねる等の掲示板やSNSでの削除、投稿者の特定を得意としています。状況を分析、解決策のご提案します。

ネット上の誹謗中傷、1日でも早く削除したいなど、困ったことがあれば、被害が大きくなる前にまずはご相談ください。

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